日本の冬、身近な自然で入手可能な植物をファイヤースチール等で直接着火できる火口、着火剤にできるのか！？

ファイヤースチール等で着火可能な火口を身近な自然で手に入るものに限定して選考！！麻縄に頼らず周りの自然素材で火起こしをしてみよう！！

・・・的な企画です！！

ですからBushCraft的な焚き火の火口（ほくち）として有名な「白樺の樹皮」や「ファットウッド（松脂）」等は除外しています。

また、杉の葉も優秀ですが平地だと意外と入手難度が高いので除外。

松ぼっくりも焚付としては優秀ですが火口にはならないので除外しています。

つまり・・・

①ファイヤースチールの火花から直接着火可能な綿系の繊維を持った植物

②入手難易度も低い植物

という基準で選んでいます。

※この記事は更新します、現時点では検証が不十分な素材も多いため追加や訂正する可能性があります。

ススキ

秋の七草の一つでイネ科の植物。

冬になると完全に枯れて穂についた綿毛が風にのって飛んできますね。

あまり知られていませんが雑木林ができる原因の一つはこのススキで、ススキが草原を覆いだすと先駆的樹木が侵入をはじめ森林化するそうです。

なのでススキ草原は草原の最終段階なんだとか。

日本って環境活動すると必ず樹木を植え始めるんですよね・・・草原依存の生物ってかなり居るんですけどねぇ・・・生物多様性をまったく考えてないアピール重視の活動なんでしょうけど。

猫じゃらし（エノコログサ）

ご存知イネ科の雑草代表格「ネコジャラシ」先輩。

どこにでも生えていますね。

ちなみにエノコログサはアワの原種なので一応食べられるそうです・・・・。

チガヤ

チガヤは遠くから見るとネコジャラシかと錯覚するイネ科の植物。

しかし近くでみると全く違う植物だとすぐにわかる・・・ネコジャラシと比べると圧倒的に綿毛に覆われています。

昔の子供はチガヤの若い穂をおやつ代わりに食べたらしい。サトウキビの仲間だから甘いんだとか・・・私は子供の頃植え込みの花のみつを吸ったりしていたが今の子供もやるのだろうか？

セイタカアワダチソウ

この白くてもこもこした植物・・・冬のセイタカアワダチソウなんです

セイタカアワダチソウは帰化植物。

つまり外来種なので、江戸時代の火口とか昔ながらの道具で着火する考えで見ると若干外道かもしれない。

しかし、私は現時点の自然環境で容易に入手できる点こそ非常に重要であると思っており、「合成された化学製品」や「市販の麻縄」などの既製品を使うのと比べれば自生する外来種を活用するほうがよっぽどフェアであると考えています。

その辺を割り切って考えればこのセイタカアワダチソウという植物を火口として使わない手はないでしょう。

まず、この植物・・・繁殖力が半端ないのでどこにでも生えています。

公園の植え込み、用水路の脇、歩道の植え込み、コンクリの割れ目、隙間・・・どこにでも。

そして秋口に見る黄色い花からは想像しづらいかもしれないが真冬になると非常に細かい繊維質になるんです。

冬のセイタカアワダチソウの冠毛（かんもう）。

タンポポの綿毛と同じようなもの。

これだけ乾燥した綿状の繊維が大量についており、かつどこにでも生えている・・・これだけ優秀な火口は中々ないと思いませんか？

ちなみにブタクサと混同して花粉を持っていると勘違いされることがしばしばありますが、セイタカアワダチソウで花粉症にはなりません、と言うかなれません。

この植物は虫媒花によって子孫を残すのでスギ、ブタクサのように風媒花で花粉を飛ばしません。

いわゆるポリネーターと呼ばれる蜂などを頼りに子孫を残すわけです。

↑ポリネーターの例、画像はクヌギの無料ドリンクバーで酒盛りするハナムグリさん

 

ガマの穂

ご存知田んぼのウィンナーことガマの穂先生。

あなたはご存知でしょうか・・・日本では綿花が伝わる前はガマの穂の綿・・・つまり『蒲の穂綿』を入れた座布団のようなものが使われていたそうです。

よって古来より伝わる日本の綿といえばガマの穂なんです！

今の木綿ほどの性能は無いとしても自然界の繊維ではおそらくNo.1の火口であることはこのことから容易に想像できますね・・・

ちなみに筑波山で有名な「ガマの油」はヒキガエルが分泌する成分から作られる蟾酥（せんそ）と言ういわゆる気付薬の説と蒲の花粉・・・蒲黄（ほおう）から作られるという2つの説があるとか。

ぶっちゃけ現在のガマの油の成分はハンドクリームですが・・・ｗ

冬にガマの穂を探すテクニックがあります。まずフィールドワークで草原を見て遠距離からススキ群などと見比べる場合は「ボコボコした五平餅」っぽくなってるのは弾けたガマの穂です。

後は夏に農業水路などとして流れている小さな水路で３面護岸されていないタイプであれば冬に水枯れてしていても高確率で生えています、あとは近所の沼、池、湿地帯をしらみ潰しにあたればそのうち見つかります。

え？近所に農業水路とか沼とか池が無いって！？・・ここはシティボーイの来る所じゃねえ！！

４つの自然素材火口にファイヤスチールで着火して実証！！

この方たちがHOKUTIのメンバーの皆さんです！！（アイドルグループ風）

左から順に「ガマの穂の綿」「チガヤ」「ススキ」「セイタカアワダチソウ」でございます。

では早速着火実験に入ります。

※ネコジャラシは忘れました！後日追記予定！！ｗ

※近日動画公開予定です

今回使うのは火打石ではなくファイヤースチール（ファイヤースターター）。

EXOTAC polySTRIKERエクソタック ポリストライカー【正規品】 価格：1944円（税込、送料無料) (2019/1/14時点)

▲私が使っているのはこの エクソタック ポリストライカー という製品です。

ストライカーが本体に収納できるので携帯しやすいです。

買ってから４年くらい使ってますが使い終わりませんｗｗｗ

かなり火花が出やすいので初めて買う一本にオススメですよ！

⇒数年前にこの商品の記事も書いてますのでどうぞ！

・ススキ

着火のしやすさ：D

燃焼時間：無し

結果：単品ではファイヤスチールで着火しない、燃焼時間0秒。

これはあくまでも今回の実験結果です、時期的に強風が何度も吹いたあとなのですすきの穂がかなり痩せていたのが原因かもしれません、そもそもススキは複数をあわせて密集させて使うべきなかもしれません。

（実際に、ススキで一発着火してる人もいるのでやり方や状態が悪かったと思われます）

・チガヤ

着火のしやすさ：A

燃焼時間：B

結果：ファイヤスチールで容易に着火可能。ネコジャラシ大で１.４～１.５秒ほど燃えるので火口としてかなり優秀。

やはり細かい綿毛が密集しているので着火性能が高いです。いくつか集めればこれだけで焚き火の初期段階は完成するでしょう。

・ガマの穂の綿

着火のしやすさ：A

燃焼時間：A

結果：ファイヤスチール単体で容易に着火可能、２秒近く燃焼し鎮火するがその後何度か再発火可能で消し炭状態になっても火種に使えるので超優秀な火口。

チガヤをさらに高性能にした感じです、麻縄を解いた鳥の巣状火口と比べると燃焼時間が劣りますが着火のしやすさは上に感じました。

もしも身近にガマの穂があるなら麻縄なんて解くのは馬鹿らしい行為に思えるでしょう。

・セイタカアワダチソウの冠毛

着火のしやすさ：B

燃焼時間：B

結果：枝から冠毛部分をはずして集めたところにファイヤスチールで火花をあてれば着火可能、１秒ちょっとは燃焼するが燃焼部位が全体に行き渡らないので若干微妙。

とは言えススキやその他の燃えやすいブースト燃料を用意して丁寧に扱えば十分火口として機能するでしょう。

結局どの火口が一番優秀？

現時点での私の答えはこれ

『セイタカアワダチソウの冠毛』です。

ファイヤスチールの実証実験では４品中３位だったのに何故これなのか？

それはなんと言っても入手難易度の低さですよ！

冠毛化したセイタカアワダチソウは冬になればススキと同じくらいどこにでも生えていますしススキよりも簡単に火が付きます。

もちろんガマの穂やチガヤも変わらないくらいそこら中に生えてるよ！という人もいるかもしれません、それは住んでいる場所によって変わります。

ところが、セイタカアワダチソウはおそらく日本中どこでも変わらず生えているはずです。

田舎だろうと都会だろうと片田舎だろうとどこでも生えてる憎いやつ。

そしてkamisiroが色々と着火実験した事実から申し上げますと

冠毛を枝から外して一箇所に集めれば火種になっちゃうんですよ、ということはですね・・・

ススキや他の細かい繊維の植物を事前に集め、セイタカアワダチソウの冠毛を火口に火種を作りそれを囲んで空気を送り込めば良いわけです。

火打石と火打金による着火でこれを火口にするのは難しいですが、ファイヤスチールなら楽勝でしょう。

キャンプ等でライターを使わず着火したい時はまず周囲を見渡してセイタカアワダチソウを見つけてください、そして周囲の植物を活用して火起こししてください。

周りにいくらでも自然の着火剤があるのに麻縄解いてるブッシュクラフター儀式をしてる人を見たら

「まだ麻縄で消耗してるの？」

と言ってあげましょう！！ｗ